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初学者必見!!誰にでも理解できるサプライチェーン排出量の全貌

ビジネスに身を置いている方なら誰もがよく「サプライチェーン」という言葉を耳にするがことがあると思います。しかし、「サプライチェーン排出量」という言葉を知っていて、理解されている方はどれほどいるのでしょうか?これは、サプライチェーンにおける組織活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量を指します。
今回は、そんな「サプライチェーン排出量」についてきちんと理解していただけるように、分かりやすく解説していきます。

サプライチェーン排出量とは?

サプライチェーン排出量とは、企業が自ら排出する温室効果ガスだけではなく、例えば製造業においては原料調達・製造・物流・そして販売後の使用に伴う排出や廃棄なども含めたサプライチェーン全体で発生する温室効果ガスの排出量を指します。

そしてサプライチェーン排出量は、Scope1(直接排出量)、Scope2(エネルギー起源間接排出量)、Scope3(その他間接排出量)という3つで構成されています。

近年、CDP(旧:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)のような情報開示のプロジェクトにおいてサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量としてScope3までを算出・管理・開示することが推奨されています。
気候変動への取り組みは非財務的な評価の一つとして、投資家の注目も集めていますので、サプライチェーン排出量を正しく開示することは、企業価値を高めることにも繋がります

CDPとは・・

CDPは、英国に本部を置いた環境分野に取り組む国際NGOです。2000年に設立されたプロジェクト「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」がその前身となっています。二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の開示(見える化)を扱ったプロジェクトが気候変動以外の水や森林といった環境資源への対応も活動領域に入ったことから発展し、名称も変更されたようです。

CDPは企業の株主である機関投資家を巻き込むことに成功しており、彼ら投資家の関心のある環境問題に焦点をあてた質問表を企業に送付し、その回答を収集・分析することでA~D-の8段階での評価をしています(十分な情報提供がない場合はF)。このスコアは世界中の企業の取り組みを共通の尺度で測る事ができているという点においても、信頼性の高いものになっています。

2019年には世界で8400社以上、日本では356社が回答し評価されています。

また、CDPでは特にサプライヤーの取り組みにも注目した「サプライチェーンレポート」を公開しています。2019年版のレポートでは世界の主要企業125社とそのサプライヤー7000社の回答結果がまとめられています。

出典:CDP 気候変動 レポート 2019:日本版
出典:CDP サプライチェーンレポート 2019 日本語概要版

Scope1、Scope2、Scope3とは?

Scope1とは?

Scope1とは、燃料の燃焼、工業プロセス、自社所有の輸送手段の使用に伴う直接排出などの事業者自らによる温室効果ガスの直接排出を指します。

Scope2とは?

Scope2とは、他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出を指します。また、電力を使用する建設現場での施設、建設機械の使用による排出や輸送事業者以外の事業者における電力使用 による排出等も含まれます。

サプライチェーン排出量全体イメージ図
出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:サプライチェーン排出量とは(環境省)

Scope3とは?

Scope3とは、Scope1、Scope2以外の間接排出つまり、Scope1, Scope 2以外のサプライチェーン全体の事業者の原料調達・製造・物流・販売・廃棄などの組織活動に関連する、他社の排出を指します。
そして、GHGプロトコルのScope3基準では、Scope3を15のカテゴリに分類しています。

各カテゴリへのScope3活動の分類結果(例)

GHGプロトコルとは・・

GHGプロトコルは、温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量の算定と報告の基準を指します。この基準は、GHGプロトコルイニシアチブという、企業や各国政府機関、NGO等も参加している国際的な組織が作成しています。GHGプロトコルイニシアチブの目的はオープンかつ包括的なプロセスを通じて、国際的に認められたGHG排出量の算定と報告の基準を開発し、利用の促進を図ることにあります。

GHGプロトコルのサイト(英語)では、基準やガイダンス、算定ツールなどが提供されていますが、環境省のページでも詳細を確認することが可能です。

サプライチェーン排出量を算定する目的とメリットとは?

事業者自らの排出量だけでなく、事業活動に係る全ての排出量を算定する目的は企業活動全体の把握・管理になります。

そして、算定と開示を行うことでは以下のようなメリットを期待できます。

削減対象の特定
自社のサプライチェーン排出量の全体像(排出総量、排出源ごとの排出割合)を把握し、サプライチェーン上で優先的に削減すべき対象を特定できます。

環境経営指標に活用
自社のサプライチェーン排出量の経年変化を把握して、削減対策の進捗状況を確認できるため、環境経営指標として活用できます。

他事業者との連携による削減
排出量算定のための情報交換がきっかけとなり、サプライチェーン上の他事業者と連携した削減策を共同で考案し取り組むことができます。

削減貢献量の評価
サプライチェーン排出量と削減貢献量を一緒に公表することで、削減貢献量の参考指標として活用することができます。

機関投資家等の質問対応
機関投資家や環境格付機関による質問票にサプライチェーン排出量に関する質問が増えてきています。適切に回答し、自社の環境経営の取組を発信することで、自社の評価を高めることができます。

CSR情報の開示
企業の社会的責任情報開示の一環として、サプライチェーン排出量をCSR報告書、WEBサイトなどに掲載し、自社の環境活動への理解を深めてもらうことができます。

出典:サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省)

他社の活用事例

環境省の以下のサイトでは企業の取り組み事例が ①算定を行う背景・目的 ②算定結果の活用方法 ③算定のメリット ④社内の算定体制 ⑤サプライチェーン排出量の削減に向けて ⑥サプライチェーン排出量算定の課題 といったカテゴリを含む一定のフォーマットにて公開されています。

さまざまな業種の企業の取り組み事例が紹介されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。


環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:取組事例

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