非財務情報公開

急がれる気候変動対策関連の非財務情報公開方法!

近年、企業が気候変動対策に関連した非財務情報を公開する取り組みが拡大しています。この背景には2030年に向けた国連主導の取り組み「SDGs」等の「持続可能な社会」を目指した社会の動きや高まるESG投資への注目が挙げられます。では、企業が気候変動に関する非財務情報を公開するのはどの程度重要なのでしょうか。そもそも非財務情報とはどんな情報で、どのように公開するのでしょうか。

非財務情報公開とは

非財務情報とは財務諸表以外の情報

非財務情報とは、財務諸表(損益計算書、貸借対称表、キャッシュフロー計算書等)以外の情報のことを指します。

以下が非財務情報の例です。

・財務報告(有価証券報告書やアニュアルレポート)内の財務諸表以外の情報

サステナビリティ情報(CSR 報告書等で開示されている環境・社会面に関連する情報)

ガバナンス情報(内部統制報告書、コーポレートガバナンス報告書等の情報)

経営理念・経営ビジョンや中期経営計画といった経営の方針に関する情報

ビジネスモデルや経営戦略に関する情報

無形資産(ブランド、特許、人的資本等)に関する情報

出典:P9, 一般財団法人 企業活力研究所, 新時代の非財務情報開示のあり方に関する 調査研究報告書

具体例に定量情報としては二酸化炭素の排出量や女性管理職数など、定性情報としては経営者による財政状況の分析や今後の経営の指針などになります。

非財務情報公開とは非財務情報をステークホルダーに報告すること

非財務情報を公開するとは、一般的に非財務情報を有価証券報告書や統合報告書、CSR報告書などを用いて投資家をはじめとするステークホルダーに対して上記の非財務情報を公開することです。今回は注目される気候変動についての非財務情報を公開するために分かりやすく取り組みの価値を訴求できるフレームワークをご紹介します。

気候変動に対する非財務情報公開の重要度が高まる理由を詳しく解説!

高まる将来への不確実性

新型コロナウイルスの影響で既に日本では218社が倒産に追い込まれてしまいました。(2020/6/4時点・注1)この半年間を通して、「将来とは読めないもの」という考えを改めて感じたのではないでしょうか。このような将来への不確実性はこれからも高まると考えられています。では、将来を予想することを諦めて現在の利益だけを求めたらいいのでしょうか。それでは社会は壊れてしまいそうですね。そのために企業は長期的な発展のため、最大限の将来予想に基づいた対策をしなければならない時代になったのかもしれません。

注1:出典 新型コロナウイルス関連倒産

長期的な視点で見た気候変動のリスク

では、現時点での将来の予想に基づいた対策とは何をしたらいいのでしょうか。世界全体の「グローバルリスク」についてマーシュをはじめとした企業の協力のもと世界経済フォーラムがレポートを発行しています。マーシュの世界130か国で保険仲介とリスク管理のコンサルティング業務等を通した知見を世界経済フォーラムがいかし、世界における今後10年のリスクを予想したものです。データは政府資料等にも採用され、信頼を得ています。

以下は彼らの「今後10年のグローバルリスク 2020年版」の予想です。気候変動対策の重要性は明らかなのではないでしょうか

発生可能性ランキング
1位:異常気象
2位:気候変動の緩和・適応の失敗
3位:大規模な自然災害
4位:大規模な生物多様性の喪失と生態系の破壊
5位:人為的な環境損害・災害

与える影響ランキング
1位:気候変動の緩和・適応の失敗
2位:大量破壊兵器
3位:大規模な生物多様性の喪失と生態系の破壊
4位:異常気象

5位:水危機

増加するESG投資:気候変動の取り組みを正しく開示すべきという考え方が浸透し始める

ESG投資とは投資家が非財務情報も考慮して評価し、投資することです。長期的な視点で企業を評価するには非財務情報が重要になるという考えが基になっています。近年ESG投資は日本でも増加し、不確実な社会の中での企業の対策が注目されています。また、上記で述べたように、特に気候変動に対する取り組みの早急な対応の必要性は投資家の中でも共有されています。そのため、企業は気候変動に関する非財務情報を正しく開示することで彼らから評価されやすくなることが公開する動機の一つとして挙げられます。

 世界共通の国際フレームワークTCFDとCDP

では、どのように公開したらいいのでしょうか。今回は気候変動に関する情報公開をフレームワークを提供することでサポートしている注目の二つのプロジェクトをご紹介します。

TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)

TCFD

近年注目されているのが、TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)です。企業は認知度が高いフレームワークを使用した開示をし、賛同することで金融機関や投資家をはじめとするステークホルダーからの信頼獲得に繋がるメリットがあります。現在(令和二年5月29日時点)では世界全体で1,232の企業・機関が賛同し、日本では271企業機関が賛同しています。皆さんに馴染みがある企業も賛同しているのではないでしょうか。TCFDの開示項目は以下になります。

  1. ガバナンス:気候変動リスク・機関についての組織ガバナンス
  2. 戦略:気候関連リスク・機会がもたらす事業・戦略、財務計画への実際の/潜在的影響
  3. リスク管理:気候変動関連リスクの識別・評価・管理方法
  4. 指標・目標:気候関連リスク・機会を評価・管理する際の指標とその目標

出典:気候変動に関連した情報開示の動向 (経済産業省)

Uniliver (ユニリーバ)の例
英語ですが、TCFDのイメージがつきやすいのではないでしょうか。
Unilever TCFD Implementation Practical Example

CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)

次にご紹介するのは、CDP(Carbon Disclosure Project)です。CDPは気候変動対策を含む環境問題に関連する事柄について企業に質問書を送付し、回答の公開や評価をしているNGO団体です。2019年、参画企業は世界で8,400社を超え前年比で20%の増加となりました。日本では現在356社が質問に回答し、情報を公開しています。(令和二年5月29日時点)

また、CDPの開示内容を踏まえた「低炭素株式インデックス」開発など金融市場での活用が始まっています。

CDP
出典:今、脱炭素経営に取組む8の理由と主なアクションリスト(環境省)P45

まとめ

気候変動に関連した非財務情報を公開するイメージはついたでしょうか。他にも情報公開をするフレームワークはありますが、対象となる企業にとって上記の二つは①認知度が高く、ステークホルダーからの信頼獲得に繋がりやすい。②比較的取り組みやすい。と思います。

また企業規模が小さい会社にとっても、上記の2つはガイダンスや質問表が公開されているので、「どう公開したらよいのか」のよいヒントを得られるのではないかと思います。

興味をもった方はぜひ、下記のリンクを参照ください。

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