脱炭素

脱炭素化で変化する企業の投資家や消費者との関わり方を解説!

近年、脱炭素社会というキーワードを耳にすることも増えたのではないでしょうか。脱炭素とは温室効果ガス(特に二酸化炭素)の排出をゼロにする取り組みです。2015年パリ協定で二度目標(世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ目標)決定後、「脱炭素」の社会潮流は加速しています。では、加速する社会潮流「脱炭素」が企業に与える影響とはどのようなものなのでしょうか。企業はどう「脱炭素」の価値を消費者に伝えていったらいいのでしょうか。

脱炭素社会とは

脱炭素社会とは温室効果ガスの排出をゼロにする社会のこと。
一般的に脱炭素の「炭素」は温室効果ガスの中でも地球温暖化に対して主な原因となっている二酸化炭素のことを指します。2015年パリ協定がきっかけとなり、世界で「脱炭素社会」に向けた動きが活発化しています。

パリ協定とは?
パリ協定とは、2015年に気候変動抑制のために世界各国が協力し取り組むことを定めた協定です。京都議定書の後継として知られていますが、大きな違いとなったのは、京都議定書では先進国のみの目標設定でしたが、パリ協定では発展途上国を含むすべての国が対象となった点です。また、パリ協定では世界の共通目標である二度目標(世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ目標)が定められました。現在159か国が参加し、世界の排出量の約86%をカバーしています。

企業に与える影響

脱炭素の社会潮流が企業に与えるチャンスとリスク

「脱炭素」の社会潮流によってどのように企業に影響を与えるのでしょうか。チャンスとリスクが考えられます。

①チャンスとしての「脱炭素」潮流

現在「持続可能な社会」を目指すべく、国連でSDGsという世界目標が採択されました。そして近年、社会への影響を考慮した経営をしている企業が「持続可能な企業」として評価される動きが加速しています。特に投資家にとって持続可能性の観点からの評価の重要度が増しているように思えます。また、対応を超えて積極的に取り組むことで競合優位性を得ている企業もあります。言い換えると、将来規制されることを見越して対応しておくとそれが競合優位性に繋がるということかもしれません。以上のことから、「脱炭素」は企業にとってチャンスなのではないでしょうか。

②リスクとしての「脱炭素」潮流

上記で述べた一方で、裏を返せば「持続可能な企業」として評価されるためには、社会に貢献する活動が必要になってくる可能性が高いとも言うことができます。特に、気候変動に対する動きが注目され、現に、みずほファイナンシャルグループ(FG)は(注1)2020年4月、石炭火力発電所向けの新規投融資を止める方針を発表しました。これから石炭等の発電に直接関係する会社だけでなく、排出量が多い会社などにも影響が及ぶ可能性も否定出来なくなってきています。他社の例(注2)では、Walmartが2030年までに2015年比でサプライチェーン全体で10億トンの削減目標を提示しました。そのため、関連する企業にとっては、取引先から排出量の制限を求められることや、契約条件として脱炭素への取り組みが課せられる可能性が大きなリスクになるかもしれません

以上の理由から脱炭素の社会潮流は企業にとってチャンスでもあり、リスクでもあり、表裏一体なのではないでしょうか。

注1:出典 サステナビリティへの取り組み強化について(みずほFG)

注2:出典 今、脱炭素経営に 取組む8の理由と 主なアクションリスト(環境省)

SBTが企業にとって世界基準の目標に

脱炭素に取り組む企業の中で大きな存在が、SBT(Science Based Targets)です。これは企業版二度目標と呼ばれ、企業はSBTから認定されることで投資家や消費者に分かりやすく取り組みを伝えることができます。現在(2020年5月21日時点)では世界で885社、日本で93社が参加を表明もしくは認定されています。SBTは企業がこの目標を使用して取り組むべき理由として以下の四つをあげています。

  1. イノベーションの活性化(63%の導入企業はSBTはイノベーションを活性化すると回答)
  2. 不透明な未来への対応(35%の導入企業はSBT導入で規制に関する弾力性が上がったと回答)
  3. 投資家の信頼獲得(52%の導入企業はSBT導入で投資家からの信頼が上がったと回答)
  4. 利益・競争力強化(55%の導入企業はSBTで競合優位性が向上したと回答)

出典:SBTホームページ(英語) 
参考:環境省ホームページ

SBT企業の取り組み事例:積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社では持続可能な社会構築のために以下の三つの目標を設定し、SBTから承認されました。(2018年更新)

  1. 2030年までに供給する戸建て、賃貸住宅からの二酸化炭素排出量を45%削減
  2. 2030年までに自社で消費するエネルギーによる二酸化炭素排出量を35%削減。
  3. 事業で使用する5万本を超える蛍光灯を3年をめどにLED化する。

出典:温室効果ガス削減で「SBTイニシアチブ」の認定を取得 住宅業界で国内初(積水ハウス)

消費者に与える影響

脱炭素の社会潮流によって、上記の例①積水ハウス株式会社による戸建て、賃貸住宅からの排出量削減などの企業の取り組みが盛んになり、消費者の身近なところまで「脱炭素社会」は迫ってきているのかもしれません。また、一企業として投資家だけでなく消費者にどう「脱炭素」への取り組みの価値を訴求するかが課題になっていきそうですね。

まとめ

脱炭素社会に向けて世界各国、そして企業の取り組みが進んでいます。企業が目標を設定するSBT参加企業は急速に増え続けています。皆さんがご存じの企業は参加しているでしょうか。気候変動に対する対策をとっている企業が投資家や消費者から評価されることで良い循環がうまれ、社会全体として脱炭素社会に向かっていけたらいいですね。

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