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【東証調査】約1%の投資家しか企業のESG情報開示を十分と思っていない事実

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近年、投資家が企業価値判断のためにESG情報を重要視する動きに伴ない企業のESGへの取り組みも加速しています。日本でもESGへの取組みを行う企業が増えているものの、投資家にとってはESG情報開示が十分ではないと考えられているようです。今回は、日本取引所グループと東京証券取引所が発行する「ESG情報開示実践ハンドブック」を基に、ESG情報開示の現状などについて解説していきます。

日本取引所グループ・東京証券取引所が発行するESG情報開示実践ハンドブック

2020年3月31日、株式会社日本取引所グループと株式会社東京証券取引所は、上場企業がESG情報を開示するためのガイダンスとして「ESG情報開示実践ハンドブック」を発行しました。

これは、今後ESG情報開示をしようとする上場企業を含め、全上場企業向けに作成したものです。

ESG情報開示実践ハンドブックとは

ESG情報開示実践ハンドブック(※以下、ハンドブックと記載)とは、上場企業がESG情報開示を進めるために、現状を理解し、自社に適した形を検討できるよう、その手順や検討ポイントを示したものです。

このハンドブックには、上場企業がESGに関する課題に取り組み、ESG情報を開示するために考慮すべきポイントが紹介されています。これから情報開示を検討する企業や、既に情報開示を行っている企業も存在することから、それぞれの企業の現状に合わせて検討できるよう、4つのステップに分けて構成されているため、必要な個所を参照できるようになっています。

発行された背景

近年、投資家の間で、中長期的な視点で投資先の企業価値を評価する際に、ESG要素を含むサステナビリティを重要視する動きが広まってきています。特に上場企業では、投資家を含むステークホルダーから説明責任を求められ、ESG関連の取組みを進める企業や、投資機会向上のために情報開示を充実させるという動きがあります。

海外では、ESG情報の開示に関する基準やフレームワーク、ガイダンスなどが、政府や取引所、NGO等さまざまな機関から提供されています。日本では、経済産業省がガイダンスを公表しているものの、ESG情報開示の基準などの提供は海外中心となっています。そのため、日本語で理解できる情報が不足している現状があります。

そのため、日本取引所グループと東京証券取引所が上場企業の自主的なESG情報開示への取組みを支援し、投資家に上場会社の企業価値を正しく評価させるため、このハンドブックを発行することにした背景があります。

【東証調査】約1%の投資家しか企業のESG情報開示を十分と思っていない事実

ハンドブックには、2019年4月、一般社団法人生命保険協会が発表した「生命保険会社の資産運用を通じた『株式市場の活性化』と『持続可能な社会の実現』に向けた取組について」の中に、企業のESG情報開示に関するアンケートの実施結果が掲載されています。

その中で「ESGへの取り組みに関する情報開示は十分と考えるか」という質問に対し、「十分開示している」と答えた企業は、全体の28%でした。しかし、企業が「十分か維持している」と回答した投資家は、全体の1%だったのです。企業と投資家の認識には、かなりのズレが生じていると言えるでしょう。

コーポレートガバナンスコードのESGに関わる提言

ハンドブックでは、実効的なコーポレートガバナンスを実現することで、企業の持続的成長と企業価値向上の自律的な対応が図られて、企業や投資家のみならず、経済全体が発展すると説明されています。よって、東京証券取引所では、実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けた主要な原則を「コーポレートガバナンスコード」として取りまとめています。

企業においては、サステナビリティに関する課題には積極的かつ能動的に取り組むべきであり、その課題への対応は重要なリスク管理の一つとなっています。そのため「コーポレートガバナンスコード」には、ESGのG(ガバナンス)だけでなく、S(社会)、E(環境)に関する項目もまとめられています。

以上の理由から、上場企業において「コーポレートガバナンスコード」を普及、定着させることによって、サステナブルな社会の実現を目指しているそうです。

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