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【東証|ESG情報開示に向けて3】開示の枠組み一覧、選定、留意点とは

ESG kaiji

企業の価値を評価するためにESG情報の重要性が高まる中で、情報を開示の方法や枠組みは多くあります。現在、ESG情報開示に関する枠組みはさまざまな機関などから公表されているため、自社の戦略や実情に見合うものを選定する必要があります。今回は、ESG情報開示の趣旨その枠組みの主なものについて、詳しく解説します。

ESG情報開示の趣旨

現在、企業がESG情報を開示するのには、二つの理由があります。一つは、投資家を含めたステークホルダーに対して、自社のESGに関する戦略や取り組みについて説明責任を果たすことです。もう一つは、投資家が中長期的な視点で企業価値を評価する際に、ESG要素を含むサステナビリティを重視しているため、その情報を必要としている状況にあるからです。

ESG課題と企業価値との関係 

近年、ESG情報の開示・検討する上場企業が増加している中、既存の枠組みも充実してきているため、企業は目的に応じて選択することが必要となっています。

具体的な情報開示については、企業の状況や投資家等情報の利用者など、さまざまな要因を検討した上で決定することになります。投資家に対して開示を検討する場合には、自社の企業価値において「企業の戦略とESGの関係」「マテリアルなESG課題とその特定プロセス」「トップのコミットメントとガバナンスの体制」「指標と目標値」という4つの項目に踏まえて開示することが重要です。

投資家のESG情報源とは?

投資家から集めた資金を運用するアセットマネージャーは、ESGを含む企業情報を主に3つのルートから入手しています。

一つ目は、企業から直接入手する方法です。開示情報やエンゲージメントを通じて、直接入手します。

二つ目は、ESG評価機関からデータやスコア、指数等を購入する方法です。企業の公開情報によりデータやスコアを算出する機関もあれば、企業に質問票を送るなどして情報収集する機関もあります。

三つ目は、企業の議決権行使に関する情報を基にする方法です。企業の株主総会招集通知や参考書類等に掲載されている情報を参考にしたり、議決権助言会社のデータを利用したりする場合もあります。

ここでは、投資家が必要とするESG情報の入手方法を挙げましたが、実際に開示を検討する場合、その情報が誰に必要とされており、どのように利用されるのかをしっかりと認識しておく必要があります。

ESG情報開示に向けて【ステップ3: 枠組みの選定】

多くの上場企業は、様々なステークホルダーが関わっているため、既存のESG情報開示の枠組みを活用して自社の情報を開示しています。実際に開示する場合、誰に向けて情報開示をするのかしっかりと検討した上で、適切な枠組みを活用することが大切です。

情報開示の既存の枠組みリストと概要・URL

これまでに、政府や国際機関、取引所、NGO等からたくさんのESG情報開示の枠組みが公表されています。ここでは、その中で主な枠組みとその概要等について紹介します。

国際統合報告フレームワーク

2013年に国際統合報告評議会(IIRC)は、企業の財務情報と非財務情報をまとめた統合報告書を作成するための考え方をまとめた「国際統合報告フレームワーク」公表しました。投資家に向けた情報開示の枠組みで、統合報告書作成にあたって原則を設けた原則主義の考え方に基づいて作成されたものとなっています。

GRIスタンダード

GRIスタンダードはグローバル・レポーティング・イニシアティブが公表したESG情報開示基準の一つです。投資家を含むマルチ・ステークホルダーに向けたもので、組織が経済、環境、社会に対する影響を報告する際の基準を設け、開示項目や指標が設定されています。

SASBスタンダード

2018年、サステナビリティ会計基準審議会が公表したもので、世界の企業のための開示基準という位置づけとなっています。投資家に向けた情報開示として、11セクター79の産業別に具体的な開示項目や指標を設定しています。

TCFD最終提言書

2017年6月に、金融安定理事会(FSB)により設立された「気候変動関連財務情報開示タスクホース」が公表した提言です。投資家を含めた金融セクターのための情報開示の枠組みであり、気候変動関連の財務情報について、主要な年次報告書等で開示するよう提言しています。日本の機関や企業の支持が多く、日本取引所グループも支持を表明しています。

価値協創ガイダンス

2017年、経済産業省が公表したガイダンスで、企業と投資家が情報開示や対話を通じて相互理解を深め、サステナブルな価値協創への行動を促すことを目的として作成されたものです。原則主義の考え方に基づき作成しているが、具体的な開示項目や指標の設定は記されていません。

情報提供時の注意点!

開示する内容を整理し、適切な枠組みを参考にして自社のESG情報を提供する段階となった時に、注意すべき点が3つあります。

一つ目は、情報を開示する媒体についてです。統合報告書を作成している企業が増えていますが、より広くステークホルダーを対象とする場合には、サステナビリティレポートやCSR報告書などを作成して、広くESG情報を掲載している企業もあります。開示の対象、ESG情報のニーズや内容、重要度等も考慮した上で、適切な媒体を選択することが必要です。

二つ目は、英語での開示です。自社の海外投資家の比率を考慮した上で、その他の海外投資家も容易に情報を入手できるよう、自社の情報を英語で提供することを検討すべきです。

三つめは、ESGデータの保証についてです。ESG情報の重要性が高まっている中、その情報の信頼性を担保しておく必要があります。今後、外部機関による保証の要請が高まる可能性もあるため、信頼性の高いデータを提供することが大切です。

まとめ

中長期的な視点で企業価値を評価する際に、ESG情報を重視する動きが広まっている昨今、事業活動のサステナビリティを考慮する際には、ESG要素を外すことはできません。自社の理念や戦略に沿った重要なESG課題を特定し、その取り組みや情報を開示することは、今後の企業存続に不可欠となっていくことでしょう。

そのために、自社のESG課題を特定し、実情に合った枠組みを参考にするなどして、しっかりと検討した上で適切な情報開示を進めるようにしましょう。

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