非財務情報公開

【非財務情報開示の必要性①】パリ協定と温室効果ガス削減にむけての各国の目標について

hizaimu info

地球温暖化による気温上昇を産業革命以降2℃以内に抑えるという目的でパリ協定が採択されました。現在では各国目標を設定し目標実現へ向けた対策を取るように責任を追われています。日本は26%削減を目標としていますが発電を大部分を化石燃料に頼っており、一方のアメリカは離脱宣言をしています。このまま2℃目標を達成できるのでしょうか、前途多難と言えます。

パリ協定とは

1997年の第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で京都議定書が採択されました。その際に二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガス削減について1990年を基準に先進国各国で削減目標が定められましたが、アメリカが批准を拒否する等、環境対策としては不十分でした。これを受け、2015年に開催されたCOP21では京都議定書以来18年ぶりとなる気候変動の国際的枠組みとしてパリ協定が設定されました。

パリ協定では2020年以降の環境対策として、産業革命時点を基準に地球環境に悪影響を及ぼす2℃以上の気温上昇を防ぐべく「2℃目標」が掲げられ、目標実現のために温暖化ガス削減の各国目標が設定されました。EUでは1.5℃目標というシナリオも設定されていたようです。

1.5℃目標

パリ協定で発表された「2℃目標」に加え「1.5℃目標」というものが発表されました。1.5℃目標は地球の温度の上がりやすさ(気候感度)が不確実であり、その不確実さに対応すべく作られたものです。また、2℃目標のままでは気温上昇による被害を防ぎきれないとして1.5℃目標も視野に入れられたようです。

各国が定めた目標 

各国は主に2030年頃までの削減目標を定めています。例えば日本は2013年比で26%削減、EUは1990年比で40%削減という難しい目標を掲げています。

EUでは電力・鉄鋼などのエネルギーを特に必要とする産業をエネルギー集約産業部門(EU-ETS)として指定し、各企業に温暖化ガスの排出権を定めています。企業は与えられた排出権を超えないようエネルギー源を石油から再生エネルギーに変えるか、排出権を超えていない他の企業から買い取るなどの対策を迫られることでCO2削減に貢献しています。

経済発展を続けている中国では2030年まで削減は難しいため2030年に排出量のピークを迎えることを狙うとともに、2030年までに一次エネルギー消費に占める非化石燃料(エネルギー)の割合を20%に増やすことを目指しています。

パリ協定の難しさ 

画期的な枠組みとして取り入れられたパリ協定ですが、前途は多難です。批准当時アメリカはバラク・オバマ氏が大統領をつとめ、アメリカは2025年までに2005年比で28%削減することを目標として定めました。しかし2017年にアメリカ第一主義を唱えるドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、中国・インドが貢献しない中でアメリカだけが削減するのは不公平であると主張してパリ協定からの脱退を表明しました。

背景には米国内のエネルギー・自動車産業への忖度があると見られています。また、従来通り批准している国でも目標達成は難しく、184カ国の状況を調べてみると4分の3は目標を達成できないだろうと言われています。

日本の電源構成比

日本の目標達成も難しいでしょう。化石燃料に代わる電力源として再生可能エネルギーや原子力があげられますが、日本では東日本大震災における福島第一原発の事故をきっかけに原子力発電への反発が強まり、火力発電への依存度を高めています。

2010年には火力発電が6割、原子力発電が3割程度でしたが、2019年には原子力の分が火力に置き換えられ、火力発電が8割弱で原子力発電が5前後となっています。発電によるCO2排出が全体の3割と言われる中でそのほとんどを火力発電に依存しているため、目標達成は非常に厳しいでしょう。残された道は再生可能エネルギー発電の割合を増やすか、発電以外の産業界におけるCO2排出量をエネルギー効率合理化や電気自動車などの普及によって補うしかありません。

出典:国によって異なる石炭火力発電の利活用(経済産業省 資源エネルギー庁)

2019年には、日本が2度目の「化石賞」を受賞しました。「化石賞」とは地球温暖化対策にあまり貢献できてないという称号で不名誉な賞です。その名の通り、日本の今回の受賞理由は梶山経済産業大臣の「化石燃料の発電所を残すべきだ」との発言から、地球温暖化対策に非積極的だとみなされたからでした。

まとめ&続く

パリ協定では各国目標を定めた画期的な温暖化対策として称賛されましたが、政治的・地政学的理由を背景に目標達成の見込みは薄くなっています。当局主導による温暖化ガス削減の推進は難しく、今こそ企業が率先して取り組むべきと考えられます。さらに、投資家・経営陣の中でも環境対策への意識は変化しており、投資先や取引先の選択に企業の取り組みが重視されるようになっているようです。

今更聞けない「パリ協定」(経済産業省 資源エネルギー庁)

おすすめ記事