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実践!Scope3カテゴリ別算定~カテゴリ4・カテゴリ9~

おさらい~Scope3カテゴリ分けについて~

Scope3はScope2以外の間接排出つまり、事業者の原料調達・製造・物流・販売・廃棄などの組織活動に関連する他社の排出を指します。そして、GHGプロトコルのScope3基準では、Scope3を15のカテゴリに分類しています。

Scope3のカテゴリ分け

カテゴリ4とカテゴリ9の定義

カテゴリ4とカテゴリ9について、発行ガイドラインでは以下のように定義されています。

【カテゴリ4】輸送・配送(上流)

①報告対象年度に購入した製品・サービスのサプライヤーから自社への物流(輸送、荷役、保管)に伴う排出
②報告年度に購入した①以外の物流サービス(輸送・荷役・保管)に伴う排出(自社が費用を負担している物流に伴う排出)

【カテゴリ9】輸送、配送(下流)

自社が賃借しているリース資産の操業に伴う排出(自社が費用負担していないものに限る)

これらの共通点は、「物の移動」であるということです。

「物の移動」=カテゴリ4・カテゴリ9

「人の移動」に関してはこちらの記事をご覧ください。

実践!Scope3カテゴリ別算定~カテゴリ6・カテゴリ7~サプライチェーン排出量のScope3を見ていきます。その中でも今回は「人の移動」に着目して、カテゴリ6とカテゴリ7の算定範囲や算定方法、そしてよくある質問や不明点を解説していきます。...

次の章では、もう少し詳しく範囲を見ていきます。

算定範囲

カテゴリ4の算定範囲

カテゴリ4の排出範囲は大きく2種類に分けられます。

①一次サプライヤーと自社間の輸送に係る排出量
②自社施設間の横持輸送や出荷側の物流で自社が発注している物流に係る排出量

以下の図をご覧ください。
左側の赤線囲いの算定対象範囲が①、右側が②にあたります。

こちらの記事もご覧ください。

サプライチェーン排出量ガイド~Scope3カテゴリー分けとは?~サプライチェーン排出量のScope3を実際に算出しようとした時に、カテゴリ分けで戸惑っていませんか?本記事に沿って、Scope3のカテゴリ区分を勉強していきましょう!...

①は「モノの流れ」も「お金の流れ」でも上流にあたります。
②は「モノの流れ」で下流だが、「お金の流れ」では上流にあたるものです。

②にあたる部分をカテゴリ9に区分しないようにしましょう!

カテゴリ9の算定範囲

自社が販売した製品の最終消費者までの物流(輸送、荷役、保管、販売)に伴う排出(自社が 費用負担していないものに限る)です。
つまり、「モノの流れ」でも「お金の流れ」でも下流にあたるものを指します。

カテゴリ9の算定範囲は、基本的には
「すべての業種・事業者において消費者までの流通を把握すること」
を前提としています。しかし、消費者までの実態を把握することが難しいこともあるでしょう。

そこでガイドラインでは、以下ア~ウに場合分けをして、算定対象を限定することも可能としています。

例えば、アでは、販売先から最終製品購入者の他社輸送を「任意算定対象活動」としています。

算定方法

まず、基本式を確認しましょう。

「活動量」×「排出原単位」

それぞれを見ていきましょう。
基本ガイドラインでは、「物の移動」に関するサプライチェーン排出量を求める際に、算定・報告・公表制度における特定荷主の算定方法を適用するとし、以下3つの具体的な算定式を紹介しています。

【燃料法】

CO₂排出量=Σ{燃料使用料×排出原単位(=単位発熱量×排出係数×44/12)}

【燃費法】

CO₂排出量=Σ{移動距離/燃費×排出原単位(=単位発熱量×排出係数×44/12)}

【トンキロ法】

<トラック>
CO₂排出量 = Σ(輸送トンキロ×トンキロ法燃料使用原単位×排出原単位)
<鉄道・船舶・航空>
CO₂排出量 = 輸送トンキロ×トンキロ法輸送機関別排出原単位

出典:サプライチェーン排出量算定の考え方

しかし、これらの式はあくまでも、各交通機関による移動距離・移動のために消費された燃料使用量が把握できる場合(下流の事業者からデータを入手できる場合)の算定方法です。これらを把握できない場合は、その他のシナリオを想定して計算することも可能です。

これによって、現実的な算定ができます。「シナリオ」に関しての詳細は、下記で説明する「よくある質問・疑問点」を参照してください。

よくある質問・不明点

シナリオとは?

シナリオとは、「想定した値を用いた現実的な算定方法」ということです。

基本的には、上記のトンキロ法のように、製品種類ごとに同じシナリオを用いて計算します。(燃料法や燃費法、トンキロ法もシナリオの1つです。)しかし、それらを用いて計算できない場合は、一律に別のシナリオを設定することもできます。ガイドラインでは、一例として、カーボンフットプリント試行事業における製品等の流通(輸送・販売)シナリオを紹介しています。

・国内輸送は 10 トントラックで 500 km 片道輸送、積載率 50 %とする

・国際輸送は、国内輸送シナリオ(海運輸送前後の陸運共に)にバルク運送船(80,000 DWT 以 下)での海運輸送を追加して計上する

サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.3)(環境省/経済産業省)

シナリオを用いる際の注意点は2つです。

①可能な限り、同シナリオを一貫して使用すること。
②CO₂排出量が過少に評価されることのないように設定をすること。

まとめ

今回は、サプライチェーン排出量算定における、Scope3のカテゴリ区分、中でも「物の移動」に着目してカテゴリ4カテゴリ9について説明させて頂きました。

今回の記事では基本の算定方式に関して、説明させて頂きましたが、他にも様々な方法で求めることができます。現実的な算定を行うためにも、シナリオを考えて算定してみましょう。

カテゴリ分けに関しては「物の移動」はカテゴリ4とカテゴリ9に分けられるということ、お金の流れにおいて「上流」か「下流」なのか意識するとわかりやすくなります。

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