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実践!一緒に進められるサプライチェーン排出量ガイド~Scope1編~

サプライチェーン排出量の算定は、Scope1~3まで各Scopeのカテゴリを算定し合計したものをいいます。今回は、Scope1についての取り組み方を大きく4つのステップに分けてご紹介します。また、参考になる資料を掲載しますので、各ステップでつまづいた際には確認しながら進めていきましょう。

おさらい

https://magazine.sustainability-note.com/2020/06/15/practice/practice_nfid/561/

Scope1、2、3とは?

Scope1
燃料の燃焼、工業プロセス等、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出を指します。
言い換えると、飲食店で調理するために使われているガスや、配達する際に自社が保有する自動車やバイクに必要な燃料(ガソリン・軽油)などがScope1の算定する直接排出に当たります。

Scope2
他者から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出です。

Scope3
Scope1、Scope2以外の間接排出つまり、事業者の原料調達・製造・物流・販売・廃棄などの組織活動に関連する他社の排出を指します。そして、GHGプロトコルのScope3基準では、Scope3を15のカテゴリに分類しています。

 

サプライチェーン排出量の算定を行うメリットとは?

事業者自らの排出量だけでなく、事業活動に係る全ての排出量を算定する目的は企業活動全体の把握・管理につながります。
そして、算定と開示を行うことでは以下のようなメリットを期待できます。

(1)削減対象の特定

(2)環境経営指標に活用

(3)他事業者との連携による削減

(4)削減貢献量の評価

(5)機関投資家等の質問対応

(6)CSR情報の開示

出典:サプライチェーン 排出量算定の考え方(環境省)

Scope1の算定方法

(1)算定目的の設定

サプライチェーン排出量算定をする際に、まず算定する目的を決めましょう。理由は、目的に応じて収集するデータの粒度が異なるので、あらかじめ目的を決定していないとデータのムラが頻繁に起こり、修正などに多く時間をとられてしまうからです。ですので、目的に応じて対象情報収集、範囲設定を行うことを心掛けて取り組みましょう。

算定目的には、たとえば以下のような内容があげられます。
あなたの企業にとって、どんな目的が適切かを確認してみましょう。

図:算定目的の例


出典:サプライチェーン 排出量算定の考え方

(2)算定期間を決める

最初に算定する期間を設定します。
基本的には決算に合わせて算定することが多いと考えられます。
例)2019年4月~2020年3月までの1年間

(3)算定する対象範囲の設定

基本的な対象範囲は、国内および海外において自社が所有又は支配する事業から排出されたもので、店舗や事務所などでの都市ガス、LPG(液化石油ガス)及び灯油の使用であったり、自社保有の自動車等によるガソリンの使用などの全てを対象としています。

位置的な対象範囲の考え方としてテナントに入居している場合、自社のテナント専用部は対象範囲に該当しますが、給油室などの共有部は対象外となります。

日本では現在、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)に基づいて政府が算定・報告・公表制度を導入していますが、サプライチェーン排出量算定を行う際には温対法で定められている規定範囲以外に、一部範囲を追加して排出量を報告することがあります。

また、各業界によって対象範囲が異なることがあるので注意しましょう。
小売業に関してはドライアイスの使用や製氷機などの業務用冷凍空気調和機器の使用が対象となり、物流業ではクレーンやフォークリフトなどの荷役機械での軽油や LPG の使用などが対象となります。
各業界の対象範囲は以下のページにてご確認ください。

環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

(4)算定

ここで実際に算定します。

例えば宅配業者の場合、自社が保有する自動車やバイク利用に必要な燃料(ガソリン等)の使用量について算定します。
(例)ピザの宅配業を営んでいるA社におけるScope1の算定手順

STEP1:商品をお客様へ届けるために、自社保有しているバイクが使用したガソリンの量を確認する。
使用量については、燃料を購入した量を参考に算定しましょう。
ガソリンの使用量は、10(kL)であった。

STEP2:該当する排出原単位を確認する。
ガソリンの排出原単位は、2,32(t-CO₂/kL)である。

・各種排出量係数を確認したい場合は以下のサイトを参照してください。
算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧

STEP3:エネルギーの使用量に排出原単位の数値を乗算して、排出量を算定する。
基本式=【エネルギー使用量】×【排出原単位】=【CO₂排出量】10(kL)× 2,32(t-CO₂/kL)=23.2(t-CO₂)

以上から、A社におけるScope1の排出量は23.2(t-CO₂)であるといえます。

今回例に挙げたA社はエネルギーは「ガソリン」のみですが、その他「ガス」や「軽油」等を使用していた場合は、各種エネルギーに対して算定する必要があります。

まとめ

今回はScope1における算定方法について解説しました。

ポイントは「算定する会社が所有若しくは、支配する全ての活動」範囲内で直接排出されたものについて算定を行うということです。この範囲規定に関しては各業界ごとに定義や範囲が異なっていることがありますので、注意が必要です。

詳細なデータが揃わず、データ収集に多くの時間がとられてしまう場合は、手元にあるデータの範囲内だけでもいいので実際に算定してみましょう。
また、環境省が算定に活用できる支援ツールを開示しているので、利用して業務を円滑に進めましょう。

 

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