コラム

【レポート】サステナブル経営に関する独自調査

sustainability survey

「ESG投資」の投資額増加を背景にして、大企業や金融機関を中心に「サステナブル経営」の重要性が広まってきています。しかし、「サステナブル」は一部の企業ではなく、中小規模の企業も含め社会全体で取り組むべきテーマです。今回は「サステナブル経営」に関する中小企業の実態把握と今後の意向、情報開示の状況等を掴むべく独自調査を実施いたしました。

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査期間:2020年 7月 2日(木)〜 7月 3日(金)
調査対象:20~60代 中小企業経営者 ※製品やサービスの導入意思決定を持つ人に限定
回答者数:314人

なお、本調査では「サステナブル経営」を以下のように定義しています。

「サステナブル経営に関する調査」結果

「サステナブル経営」に関する中小企業の実施状況について

実施企業は10%程度に留まる一方、準備検討フェーズの企業を含めると半数を越える企業が「サステナブル経営」への取り組みを意識しているという結果になりました。

実施内容は「情報収集や社内勉強会(51.6%)」「社会や地域への貢献活動(48.4%)」が上位となっていますが、他項目についても回答はまんべんなく集まっており、実施企業における活動内容は多岐に渡るようです。

実施の効果については「企業の社会への責任を果たすことができた(35.5%)」「従業員のモチベーション向上(35.5%)」などがあげられる一方、売上向上や資金調達、行政支援など実利的な効果があったと回答する企業もありました。

なお約60%の経営者が「取引選定の際に(取引先の)サステナブル経営への取り組みを考慮する」と回答しましたが、実施企業における情報開示は半数未満となっているのが現状であり、機会損失の可能性も示唆されます。情報開示をしない理由としては「どのように開示したらよいかわからない(31.2%)」「開示できるほど取り組みに自信がない(31.2%)」が回答を集めました。

また、来期予算については「予算はおいていない」と回答した企業が全体の43%でしたが、1/3の企業は「予算あり」実施フェーズによっても予算の傾向はばらつきがありました。

▶「サステナブル経営」に取り組む企業は約10%、ただし準備中検討中の企業(43.9%)を含めると過半数が取組みを意識

サステナブル経営実施/検討状況

▶実施企業の取り組み内容は、「理解を深めるための情報収集や社内勉強会(51.6%)」「社会や地域への貢献活動(48.4%)」が上位となるも、10項目が25%以上の回答を集めており、その活動範囲は多岐に渡ると想定される

サステナブル経営取組み内容

▶実施企業における成果の上位は「企業の社会への責任を果たすことができた(35.5%)」「従業員のモチベーション向上(35.5%)」「他社との差別化(32.3%)」。加えて、実利的な面での回答も得られた

▶約60%が取引先選定の際に、サステナブルな取り組み有無を考慮したいと回答。ただし実施企業における開示は半数未満にとどまった

取引先選定時のサステナブル経営の考慮意向
情報公開における状況と方法

▶取り組んでいるにも関わらず、情報開示をしない理由は「どのように開示したらよいかわからない(31.2%)」「開示できるほど取り組みに自信がない(31.2%)」が上位に

実施企業における情報未開示の理由

サステナブル経営のための来期予算については「予算はおいていない」と回答した企業が全体の43%であったが、予算ありの企業も全体の1/3以上。また、実施フェーズにおいても傾向にばらつきがあった

サステナブル経営に関する来期予算

「サステナブル経営」に関する中小企業経営者の意識について

中小企業経営者314人の回答のうち、約7割が今後「サステナブル経営に取り組みたい」と回答しており、積極的な参加意欲が明らかになりました。ただし、実施検討フェーズのスコアと比較すると乖離があることや、参加意向あり(未実施)企業についても実施時期は約46%が「わからない」と回答していることから、”意向はあるが、なかなか踏み出せない”という層が一定いると想定されます。

また、参加意向企業(実施企業含む)が今後取り組むべき、と回答した内容については「理解を深めるための情報収集や社内勉強会(36.3%)」が最も多く、続いて「社会や地域への貢献活動(30.2%)」であり、実施企業の取り組み調査と一致する結果となりました。取り組み目的については「企業の社会への責任を果たすため(54.0%)」が最も多くの回答を集めました。

取り組みを行うための課題は、「資金が足りない(29.0%)」や「人手が足りない(28.3%)」が上位になったほか、社内での理解度や関心の低さを課題に挙げる企業も約2割で、サステナブル経営自体の理解向上も必要であることがわかりました。取り組みのために欲しいサポートは「補助金支援(36.6%)」の回答が目立っており、上述の実態把握で多くの企業が「予算はおいていない」ことからも公的機関による金銭的なサポートが求められているようです。

なお参加意向がない企業における理由としては「自社には関係ないものに思われるため」が約半数となっていました。

新型コロナウイルスの影響については、約70%が「意欲に変化はない」と回答しており、大きな影響はないことが想定されますが、一方で「意欲が増した」との回答も約20%程度あり、新型コロナウイルスによりサステナブル経営の意識が高まった経営者も一定数いることを示唆しています。

今後の意向については、中小企業経営者の70%程度が必要性を認識

今後のサステナブル経営の参加意向

(現在未実施)参加意向あり企業については、約3割が「二年以内」に開始したいと回答。ただし「わからない(45.9%)」の回答も多数

サステナブル経営の開始時期

▶参加意向ありの企業において、今後取り組むべきと内容は「理解を深めるための情報収集や社内勉強会(36.3%)」が最も多く、続いて「社会や地域への貢献活動(30.2%)」となった。

今後の取組みたい内容

▶参加意向ありの企業において、取り組む目的は「企業の社会への責任を果たすため(54.0%)」が最も多いが、「ブランディング効果」や「従業員のモチベーション」等もあげられた

参加意向の理由

▶取り組みを行うための課題は「資金が足りない(29.0%)」「人手が足りない(28.3%)」をはじめ、「どう取り組んだらよいかわからない(28.0%)」などリテラシーに関わる課題も回答を集めた

参加時の課題

▶取り組みのために欲しいサポートは「補助金支援(36.6%)」の回答が目立った。

欲しいサポートについて

▶参加意向がない理由としては「自社には関係ないものに思われるため」が約半数

不参加理由

▶新型コロナウイルスの影響については、約70%が「意欲に変化はない」。一方で「取り組む意欲は増した」との回答も約20%

新型コロナウイルスによる影響

その他

全体の約半数が「SDGs」を認知する一方で、「ESG」に関するスコアは30%程度

「ESG」は、「SDGs」と比較して認知度が低く、内容まで知っている人は「SDGs」のおよそ半数程度で、約1割にとどまることがわかりました。

SDGsおよびESGにおける認知

▶企業が長期的に存続し、成長し続けるために解決すべき課題上位3つは全て「従業員」がテーマとなった

「働き方改革関連法」が施行されて1年が経過しました。5人未満の小規模企業者が多くをしめる中小企業だからこその、大きなテーマになっているのかもしれません。

回答者属性

回答者属性 業種
回答者属性 従業員規模

まとめ

グローバル大企業を中心に取り組みが進んできた「サステナブル経営」ですが、約7割が今後の参加の必要性を認識しているなど、中小企業においてもその積極的な意向が明らかになりました。人手や予算といった課題が目立ちますが、まずは「出来ることから少しずつ」取り組むことが大きな成果に繋がると考えられます。

また、「どう取り組んだらよいかわからない」という課題もあげられました。「サステナビリティマガジン」では実施企業の成功事例や、是非活用したい補助金制度や知っておきたい最新情報など「サステナブル経営」に関する有用な情報を今後も発信していきたいと思います。