脱炭素

温対法とは?改正省エネ法との違いと企業に与える影響を解説!

Law_globalwarming

企業活動に関わる環境関連の法律で理解しておきたい「温対法」「省エネ法」。一定量以上のエネルギー使用や温室効果ガスの排出をしている企業は、国に報告をする義務があり、これは法律で定められているため、報告を怠った場合は罰則があります。温対法や省エネ法をきちんと理解したい方に向けて本記事でわかりやすく説明します。

温対法とは?概要をやさしく解説

温対法の正式名称は「地球温暖化対策の推進に関する法律」といいます。

この法律は平成9年に開催されたCOP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)での京都議定書の採択を受けて、平成10年10月に可決・公布されたものです。日本はCOP3の議長国だったこと、また当時は地球温暖化防止の目的を法律に組み込んでいる国がなかったこともあり、温対法成立によって世界へ向けて積極的に地球温暖化対策へ取り組む姿勢を示す考えがありました。

その後、平成17年3月の改正閣議決定(平成18年4月1日施行)で、一定量以上の温室効果ガスを排出する特定排出者は排出量を算定して国へ報告することが義務付けられました。また毎年国がその情報を集計して公表し、国民が閲覧できる体制が整えられました。これを「温室効果ガスの算定・報告・公表制度」といいます。

この制度では事業者が自ら排出量を算定・報告することで、自社の活動で排出している温室効果ガス量を把握し、排出量削減に向けた自主的な取り組みを促す意図があります。また情報公開により業種別や都道府県別などの排出量が可視化されることで、各産業の意識向上や国民全体の温暖化対策への取り組み機運を高める趣旨となっています。

なお集計結果は以下のページで確認できます。
【環境省 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度「集計結果」】

改正省エネ法との違いは?

省エネ法の正式名称は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」といいます。この法律は石油危機をきっかけに昭和54年に制定されたもので、燃料資源の合理的使用、つまり省エネ対策の促進を目的としています。

省エネ法が直接規制するのは「工場・事業場および運輸」の分野と決まっています。また対象となるエネルギーは燃料・熱・電気となっており、廃棄物からの回収エネルギーや風力、太陽光などの非化石エネルギーは省エネ法の対象外です。

省エネ法の報告義務があるのは、

  • 事業全体の年度間エネルギー使用量1,500kl/年度以上の特定事業者
  • 保有⾞両トラック200台以上等の特定貨物・旅客輸送事業者
  • 年間輸送量3,000万トンキロ以上の特定荷主 です。

また省エネ法には以下のような罰則例があります。

  • エネルギー使用状況の定期報告や計画の作成を行わなかった場合や、虚偽の届出をした場合:50万円以下の罰金
  • エネルギー管理統括者などが関連する講習の義務の停止命令に違反した場合:100万円以下の罰金
  • 財務諸表などに記載すべき事項を記載せず、もしくは虚偽の届出をした場合:20万円以下の罰金など

2018年12月には省エネ法の改正があり、新たな対策が講じられています。

  • 連携省エネルギー計画の認定制度の創設:複数の事業者が連携して省エネの取り組みを実施する場合、省エネ法の定期報告書で、連携による省エネ量を事業者間で分配して報告することが認められる制度。制度を利用するには経済産業大臣または経済産業局長に提出し認定を受ける必要があります。
  • 認定管理統括事業者の認定制度の創設:グループ企業の親会社などが、グループの一体的な取り組みを統括管理するものとして認定を受けた場合、子会社なども含めた定期報告や中長期計画の提出義務などを一体的に執り行うことができます。
  • 荷主の定義の見直しと準荷主の位置づけ:契約などで貨物の輸送方法を決定する事業者を「荷主」と定義(貨物の所有権を問わない)とすることで、ネット小売事業者などを規制対象に確実に位置づけ、省エネを促しています。
  • 中長期計画の提出頻度の軽減:省エネ取り組みの優良事業者は中長期計画の提出頻度が軽減されるようになりました。

温対法は温室効果ガス排出量を、省エネ法はエネルギー使用状況を国に報告するものと考えるとわかりやすいと思います。

参考:「省エネ法の概要」(経済産業省資源エネルギー庁)

温対法が企業に与える影響

温対法の対象企業は毎年国へ排出量報告を行う義務があります。そのため期限までに自社の排出量を集計・算定する準備が必要です。

  • 対象となる事業者:業種にかかわらず、一定以上温室効果ガスを排出する事業者が対象です。エネルギー起源CO2は、特定事業所排出者(すべての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者)と、特定輸送排出者が対象になっています。エネルギー起源CO2以外の温室効果ガスは、温室効果ガスの種類ごとにすべての事業所の排出量合計がCO₂換算で3,000トン以上、かつ事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上の事業者が対象です。
  • 排出量算定の対象となる活動のチェック:温室効果ガスごとに、排出量算定の対象となる活動が指定されています。例えばエネルギー起源CO2の場合、燃料の使用・他者から供給された電気の使用・他者から供給された熱の使用までが算定対象の活動です。
  • 排出量の算定:環境省・経済産業省が発行している「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」に基づき、排出量を算定します。

出典:制度概要(環境省)
温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」 (環境省)

  • 報告期限:特定事業所排出者は毎年度7月末日までに報告、特定輸送排出者は毎年度6月末日までに報告。

2020年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響により、報告書の提出期限が延長されています。詳しくはこちらをご確認ください。

  • 算定対象期間:代替フロン等4ガス(HFC、PFC、SF₆、NF₃)以外の温室効果ガスは年度ごと、代替フロン等4ガスは暦年ごと。
  • 報告に関する罰則:報告をしなかった場合、または虚偽の報告が行われた場合は20万円以下の罰則があります。

出典:「制度概要」(環境省)

まとめ

温対法省エネ法を理解し、自社の活動で排出される温室効果ガス量やエネルギー使用量を把握した次のステップは、少しずつそれを改善していくことです。今後も法改正などでより厳しい規制や条件が採用される可能性もありますが、一方で温暖化対策や省エネの取り組みが競合他社との差別化につながる可能性もあります。これを契機に、できることから始めてみましょう。

おすすめ記事